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本田宗一郎氏に学ぶリーダーシップ

『本田宗一郎夢を力に―私の履歴書』 本田 宗一郎 (著)
『本田宗一郎夢を力に―私の履歴書』 本田 宗一郎 (著)

 
本田の創業者である本田宗一郎氏。
日本の自動車エンジンを世界最高峰にまで高めた天才技術者です。

とても明るく、自由奔放。ユーモアにもあふれるその魅力で、
従業員からは「オヤジ」と呼ばれ、誰からも慕われました。

HONDAは、技術部門を引っ張る本田氏だけでなく、経営面をみる
藤沢武夫氏という力強いパートナーと一緒になって、
巨大な企業となって行きました。

本田氏が技術開発の第一線から退くことを決めた一言

HONDAはバイク・自動車製造メーカーとして発展しただけでなく、
バイクレース、F1レースなどでも世界中で活躍し、
その名を轟かせています。

そのHONDAのレースでの戦績は、決して華やかなものばかりでは
ありませんでした。

それも天才技術者として技術部門のトップにいた本田氏と、
最新の技術も取り入れ始めていた若い技術者たちとの対立は、
本業の自動車販売にも影響を及ぼしていました。

 
当時、本田氏が掲げていた技術はすでに時代遅れに
なりつつありましたが、本田氏はかたくなにこだわっていました。

藤澤氏は本田氏から「技術については口出ししないでくれ。
その代わり、俺はカネのことは口出ししない」と言われおりましたが、
他の研究者からの説明もあり、新しい技術の方が良いという判断を下し、
本田氏に次のように伝えました。

 「あなたは本田技研の社長としての道をとるのか、
  それとも技術者として残るのか。どちらかを選ぶべきではないか」

これを聞いた本田氏は、しばらくの沈黙の後、

 「俺は社長をしているべきだろう」

と答え、新しい技術の導入に踏み切るとともに、技術の一線から退いたそうです。

築き上げてきた価値観を見つめ直し、大局を見て判断する

技術者としてのプライドを持ちながら、会社のトップとして判断を下した
本田氏の中にはそれまで築き上げてきた「価値観」を見つめ直したものと
思われます。

過去の成功体験にこだわって失敗するということをよく耳にしますが、
本人が自覚しない限り、それを止めることはできません。

技術者としてのこだわりに固執するのか、会社のトップとしての判断を下すのか。
本田氏個人だけでなく、本田技研工業という会社全体に視点を置いて、
判断を下され潔く一線から身を引かれたた本田氏のリーダーシップの高さは
素晴らしいの一言でしょう。

 
成功体験を積み重ね、信念を強くしていくことも大事ですが、
時代の状況や、自分自身の状況の変化に対応して、
より高いレベルでの判断を下していくことがリーダーには求められます。

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