コミュニケーションが上手くいかない理由はシステムの違いだった
リーダーシップが求められる立場にいると、次のように感じる瞬間はありませんか?
- 何故か、わかってもらえない・・・
- どうして自分の言っていることが伝わらないんだろう・・・
- 自分の中では完璧にわかっているのに、完璧に説明しているはずなのに・・・
こんな声を聞くことも有ります。
「部下達に指示をだしてもまったく通じませんでした。だから日々工夫をして、言葉づかいを考え、一つ一つ丁寧に、細かく説明をしてきました。それでも部下達はきょとんとすること、分かりませんということが多いため、さらに細かく、言葉をたくさん使い、詳細に説明をしていました。
すると、話が長くなるため、部下の頭の中で混乱したり、集中力が散漫になったりなど、悪循環に陥っている気が。同じ日本語を話しているのに、どうしてここまで通じないのか」と。
- 自分はそんなにコミュニケーション能力がないのだろうか・・・
- ボキャビュラリーが少ないのだろうか・・・
- 論理的ではないのだろうか・・・
部長さんは長年悩んでおられました。
しかし、もしかしたら、リーダーシップを求められる立場の方なら、同じように感じている方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、「部下とのコミュニケーションが上手くいかない理由」と「相手にメッセージをしっかり受け取ってもらえる方法」をご紹介します。
部長さんのエピソードをご紹介しながら、リーダーシップがどのように変化していくかもお伝えします。
NLPのセミナーでの発見
もともと、本を読むことが好きな部長さんは、常に自分を高めることに興味を持っていました。時々、セミナーに参加してリーダーシップ、コミュニケーションについて学ぶこともあったそうです。
そして、意を決して参加したNLPセミナーである発見をします。それが、私達のコミュニケーションに影響を与えている「表象システム」だったそうです。この出会いが、徐々に部長さんのコミュニケーションの取り方を変え、部下との意思の疎通、リーダーシップ能力の向上に役立ちます。
リーダーシップ能力を高める表象システムとは
人は5感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を使って情報を受け取り、認識します。この5感の事をNLPでは「表象システム」とよんでいます。そして、視覚(Visual)・聴覚(Auditory)・体感覚(触覚・味覚・嗅覚をまとめてKinesthetic)の3つに分類し、アルファベットの頭文字を取り「VAK」と呼んでいます。
人はコミュニケーションをとる時も、この表象システムを使っています。そして、その中でも優先的に使っている表象システムがあります。それを優位システムといいます。
コミュニケーションでの活用
例えば、コミュニケーションと表象システムの関係をご紹介すると、
●Visual(視覚)を優先的に使っている人は
見ている情報を口に出します。内部で見えている絵、目の前に見えている絵について話します。目線は上の方で手はその見えている絵を指したり、その絵の内容を手で示したりします。絵が変わると話も変わるので、コロコロ話しが変わるのも特徴です。
●Auditory(聴覚)を優先的に使っている人は
音や言葉にとても敏感です。たくさんの言葉を持っています。順序だてて説明する事や論理だてて説明することが得意です。とにかくたくさんの文章を話します。身振り手振りはあまりしません。
●Kinesthetic(体感覚)を優先的に使っている人は
体の中から感覚的に話しをします。相手からの言葉も体の中の感覚で理解をし、話そうとすることも体の中から言葉を見つけて相手に伝えようとする為、少しテンポはゆっくりです。
いかがでしょう?
コミュニケーションにおいて、人によって使っているシステムが違うのです。違うシステムの人同士が話すとこのようなことになります。
●Visual(視覚)の人とAuditory(聴覚)の人が話しをすると・・・
Visual(視覚)の人は、Auditory(聴覚)の人の話しは言葉が多すぎたりしてまったく見えなくなる。
Auditory(聴覚)の人は、Visual(聴覚)の人の絵が変わるたびに話しが変わるのでまったく理解できなくなる。
●Auditory(聴覚)の人とKinesthetic(体感覚)の人が話しをすると・・・
Auditory(聴覚)の人は体感覚(Kinesthetic)の人の話しが感覚的すぎてそれを言葉でちゃんと説明してほしくなる。
Kinesthetic(体感覚)の人はAuditory(聴覚)の人の話しは言葉がありすぎてのみこめなくなる。
●Kinesthetic(体感覚)の人とVisual(視覚)の人が話しをすると・・・
Kinesthetic(体感覚)の人はVisual(視覚)の人の話しが早すぎて追いつけなくなる。
Visual(視覚)の人はKinesthetic(体感覚)の人の話しがまったく見えない。
システムが違うだけで話している事が同じ日本語なのに全然意味が通じないということが起こっているのです。リーダーシップにおいても同じことが多々起きています。
部長さんの表象システムの活用法
先程の部長さん、この「表象システム」を学んだ時に、ご自身がAuditory(聴覚)優位だという事に気付かれました。そして、今まで部下に話しが通じなかった理由ががよくわかったそうです。
よくよく観察してみると、多くがVisual(視覚)優位と Kinesthetic(体感覚)優位の部下ばかりだということも分かりました。指示能力や説明能力が不足しているのではなく、「システムの違いだったんだ」という事に気付かれたのです。
「表象システム」を学ばれた後、部長さんは部下に指示を与える時、視覚で見えるグラフや絵を活用したり、体感覚優位の方の為に、話すテンポをゆっくりしたりなど、相手に合わせたコミュニケーションの工夫を行いました。
その結果、当初は上司の突然の変化に怪訝な反応をしていた部下の方達も、徐々に部長の変化に慣れてきました。同時に、コミュニケーションがとれるようになっていく。という成果をあげられました。
結果的にリーダーシップを取りやすくなり、意思の疎通やコミュニケーションの円滑化が、仕事の成果にもつながったそうです。